俺は刑事か? 笑顔の裏に刑事の顔!

住まいづくり『プロと博士の教え』 第7話

住まいづくり『プロと博士の教え』

~『営業のプロ』の教え ~

Home>俺は刑事か?

※アフィリエイトプログラムを利用

俺は刑事か?

切り込み刑事
(ピンポ~ン♪)(ガチャ!)

営業マン
「こんにちは、この地区を担当させて頂いております、○○ホームの△△です。…あれ? ひょっとして先日、展示場にお越しになられませんでしたか?」

お客様
「ええっ?」(なんで○○ホームが?)

営業マン
「いや、先日お見かけしたお顔でしたので…」

お客様
「えっ? でも○○ホームさんには行ってないと思いますが…」

営業マン
「ちょうど展示場当番でマイホームセンターに居まして、たくさんの住宅を回られている××さんのように熱心なお客様は、目にとまるもので覚えてるんですよ。それに仕事柄、顔はすぐに覚えちゃうんで!」
「今度行く時は、是非うちの展示場にもお越しになってください!」

お客様
「そうなの~、ほんと偶然ねぇ~」


おとぼけ刑事
(ピンポ~ン♪)(ガチャ!)

営業マン
「こんにちは、この地区を担当させて頂いております、○○ホームの△△です。今日は、現場見学会のお知らせでお伺いいたしました。」

お客様
「・・・」(○○ホーム?)

営業マン
「今週末に、実際のお建物をご覧頂ける現場見学会を行うのですが、××様は展示会や総合展示場などに行かれたことはございますか?」

お客様
「…ええ、先日、はじめて!」(なんてタイミングがいいのかしら?)

総合展示場には行ったけれども、○○ホームに行った覚えはない!

なのに、なんてタイミングよく、この営業マンはやって来たのだろう…と、ビックリされた方いらっしゃいませんか?

前回は「住宅の営業マンは刑事(デカ)だ!」ということについて少し触れましたが、どこが刑事っぽいのか? その手口は?…について、今回はお話します。



冒頭に、2人の刑事(営業マン)が登場しました。

最初の刑事は、たまたま飛び込み営業をしたお宅が、先日、総合展示場で他社の展示場に行かれたお客様で、そのお顔を偶然覚えていた…という状況です。

2人目は、現場見学会のお知らせで伺ったお宅が、同じく偶然最近総合展示場に行ったばかりのお客様だった…という状況です。

実はこれ、2人とも嘘つきです!

そんな偶然無いとはいいませんが、あまりにもタイミングが良すぎますよね。

これは、2人とも計画的に、住まいづくりを考えだしたと思われるこのお宅を狙い撃ちで訪問しており、組み立てられたトークにより歩調を合わせ、入り込みのキッカケを作ろうとしているのです。

言わばネタ探しの「おとり捜査」を行っているようなものです。

2人とも、このお客様が総合展示場に行った事を知っていて、このお宅に飛び込み営業の振りをしてアプローチしているんです。

ではなぜこんな手口を使ってまで、営業マンはこのお宅に迫ってきたのでしょうか?



住宅営業マンの仕事は、探客が80%!と言われるくらい、常日頃お客様に目を光らせています。

そんな中で、手持ちの管理客に良いお客様がいなくなったり、ひと目でピン!ときたお客様を目の当たりにした時には、たとえそれが自社を訪れなかったお客様でも、なんとかして接点を持ち、振り向かせようとします。

まぁ、簡単な例えで言えば、一目ぼれの彼女へのストカー気味のアプローチといったところでしょうか。(笑)

それは、お客様からすると、接点の無いはずの営業マンがいきなり家に来て、その上、自分が展示場に行ったことを知っていたとしたら、どのようにして住所や名前をつきとめたのか?と、かなりの不信感を抱くとともに、気持ち悪く思うものです。

それではたとえ会えたとしても、印象が悪く、到底商談へと持ち込めません。

では、どうすればよいのか?

そこで切り込み刑事は、偶然××様の家に来た振りをして、自分はお客様のお顔を覚えるのが得意で、××様を総合展示場内で見かけて覚えていた…として、すべて偶然を装いながら不信感を払拭しつつ、営業マンとしてのセンスの良さもさりげなくアピールして、良好な接点を作ろうとしているのです。

一方おとぼけ刑事は、同じく飛び込みで偶然××様の家に来た振りをしながら、興味のありそうな見学会などの話題をエサに、アッという間に事情聴取(ヒアリング)をはじめ、展示場を訪れていることを知っていながら、お客様の口から展示場に言ったことを吐かせているのです。

このような営業マンがおり、様々な演出が行われていることを、みなさんはご存知でしたか?



でも、今まで一度も飛び込みで営業マンなんか来たことがないところに来たとなると、やはり不信ですよね。

ですので、その地区の地図のコピーを見えるように片手に持って偽装したり、「斜め向かいのお宅でも、同じようなお話をしていらっしゃいました…」などの方便を使い、さもエリアを回ってきたような演出をするのです。

時には、隣の家へわざと本当に飛び込み、大きな声で××さんに聞こえるように、「こんにちは、この地区を担当させて頂いております…」と、営業マンが回っているなと気付かせておき、自分の家だけに訪れたわけではないと思わせ、不信感を払拭させたりもします。

わざわざ革靴からスニーカーに履き替えて、地区を一生懸命回っている演出をしたりする営業マンもいます。

あの手この手で、ホンボシ(お客様)を落とすべく、日夜、刑事(営業マン)は考え行動しているのです。

正直、そのえげつなさにビックリしている方もいらっしゃるでしょうが、住宅業界での伝説の営業マンと言われる方の多くが、こうした努力の上に栄光を勝ち取っているのも事実です。



でもここまでのお話、疑問が残っていませんか?

そうです、どのようにして、住所や名前を突き止めたのか?です。

これは、現在では個人情報保護法の問題もあり、公には×となりましたが、水面下では?です。

一つには、いろんなところで利用されてきましたが、「カーナンバー」から住所を割り出す方法です。

軽自動車の場合は、ちょっと難しかったりするのですが、基本的には、帰り際のお客様のナンバーをチェックし覚え、後で調べるのです。この方法は違法ではないのですが、詳しくは割愛させて頂きます。

「カーナンバー」から住所を割り出す方法は、クルマのディーラーさんなんかでは一般的に行われていました。

記名もせずカタログをとりに行っただけなのに、後日DMがきたとか、車検のチラシがポスティングされていた…なんていうのは、親切に外まで見送りにきてくれた営業マンが、カーナンバーをチェックしたと思って間違いないでしょう。

露骨に書き留めたりはできませんので、記憶したり録音したりします。イベント会場などの大型駐車場で、ボソボソつぶやきながらウロウロ調査している人を目にしたことはありませんか?

また、これは現在ではありえない話ですが、かつては軽自動車の所有者を突き止めるために、路駐で困っているとか、当て逃げされたかも?…と警察に電話して、教えてもらえた時代もあったようです。

そして営業マンの中には、本当に尾行する営業マンもいたりします。

わたしはお客様の後をつけたことはありませんが、なかなかお客様が見つからない苦しい時に、礼訪に向かう他社のトップセールスマンのクルマの後をつけて、失礼ながらお客様を紹介!?(笑)して頂いたことはありました。



また、もともと優れた営業マンは鼻がききます

展示場で、住所や名前などの記名を断っても、帰り際の玄関先で「せめて苗字だけでも、教えてもらえませんか?」と、カタログを渡しながら聞き、「××です」と聞き出せれば、土地の形状や、今の家の間取り、学区のお話など、展示場で伺った内容から推測し、ゼンリンの地図をペラペラめくって「ビンゴ!」ということも多々あります。

お客様は「苗字くらいなら…」と思っているでしょうが、そこから足がつくことは多々あります。

自分は「田中」だから大丈夫なんて思っていても、田中さんをはじめ「山田」「鈴木」「高橋」なんてありふれた名字の方でも、わかってしまうんですよ!

例えば、「最近目の前に3階建ての家が建って…」と言えば、エリア内の新築3階建の情報から絞れてきますし、「赤い屋根のおうちが…」と言えば、Googleマップの航空写真で探すわけです。

そうそう昔はありがたいことに、住所と名前と電話番号という個人情報がぎっしり詰まった、無料で手に入る電話帳なる便利なるものがありましたから、珍しい名字の人なんかは一発で、そうでなくともエリア内の同姓のお宅はすぐにわかりました。

どうですか、住宅営業マンが段々と怖くなってきましたか?

笑顔の裏でどんなことをやっているのか、もちろん犯罪ではありませんが、かなりグレーな部分もあり、決して褒められたことではありませんが、住宅業界に限らず、営業の世界では至るところで行われていることでもあります。

さすがにノベルティーに発信機を仕込んでいるところは無いでしょうが、そんな状況下で、みなさんへの今日の教えは、




今日の教え

★営業マンは見ている! 笑顔の裏に刑事の顔!

家づくりを考えだしたなら、どんな状況下であれ、常にどこかであなたは狙われていると思ってください。

営業マンは見ています、どんな些細なことでも見逃しません。

そして営業マンは聞き逃しません。会話が弾む中で、無意識のうちにペラペラとヒントを与えないように、「笑顔の裏に刑事の顔!」があることを再度認識してください!

科捜研ではありませんが、「こんなことで…」という些細なことから、身元が割れてしまうことが多々あるんですよ!


さて、2回にわたって営業マンの刑事の顔の部分を見てきましたが、どうですか?

次回は、新種の手口である「サイバー刑事」についてお話したいと思います。

あなたもすでに、引っ掛かっているかもしれませんよ!


営業のプロ』の教え:第8話
 ☞ 情報の結びつきに注意!


※プロローグでお断りさせて頂きましたが、現在では女性蔑視・差別表現とされている「ご主人」「旦那」「奥様」という呼称が登場しています。ジェンダー・ニュートラルな「パートナー」や「つれあい」という言葉では文脈上誰を指すのかわかりにくく、また公的な場で「夫」「妻」を他人が呼ぶ呼称が未だ定着していないことから、便宜上「ご主人」「旦那」「奥様」という呼称を使用しています。


第6話 ≪ 『営業のプロ』の教え ≫ 第8話