沈黙のクロージング、沈黙を破るのは誰?

住まいづくり『プロと博士の教え』 第1話

住まいづくり『プロと博士の教え』

~『営業のプロ』の教え ~

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沈黙を破るのは誰?

営業マン
「この内容でご契約いただけますか?」

ご主人
「あの~」(どうしよう?どうしようか?)

営業マン
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



いきなり冒頭からこんな会話でスタートしましたが、商談の最終段階であるこの場面、この営業マンの “沈黙” に息がつまり、困ったという経験をお持ちの方はいらっしゃいませんか?

契約前のクロージング! ビジネスの世界では日常茶飯事ですが、家庭生活においては、なかなか出会うことの少ない場面ですよね。

このような場面、どうでしょう? 立場は逆となりますが、感じとしてはかつての人気テレビ番組のあの「ファイナルアンサー!」と言われた後の、みのさんとの “” といったところでしょうか。

大概の挑戦者が、みのさんの沈黙の前に「だめだぁ~」とか「目が泳いでる~」「口が ざ の字だも~ん!」(笑)とか、緊張しきった “ 間 ” に絶えられずにしゅべりだしますよね。

あのなんともいえない “ 間 ” に似てませんか?

私もテレビの前で、コマーシャルが入るのが分かっているのに、いっしょに凍り付いていました…(笑)。



これこそが「沈黙のクロージング」と言われるもので、営業における決断を迫るときの常套手段なんです。

今までニコニコ説明をしてくれていた営業マンが、このひと言の後、急に黙り込んじゃったりします。

“ 間 ” が長~くなればなるほど緊張感が増し、何とかしなくは…と焦ってきちゃうんですね。

やがて、奥さんがご主人を見る目も「いいんじゃない、あなた~!」と訴えかけだし、自分の中では「いいんだよな、これで…」という、悪魔のささやきが聞こえてきます。

ご主人
「…わかりました。」

これで、終わりです。

一気に緊張感から開放されホッ!としたご主人のところに、たたみかけるように営業マンは、ひと言

営業マン
ご契約ということで宜しいですね!

と念を押してきます。

ご主人
「…あっ、は、はい。お願いします。」

これも営業の常識とも言える手法なのですが、もう一度、自分の口から言わせることで、迷いを断ち切らせるという、ちょっとした心理作戦なんです。

人はいったん決断すると、今度は後悔したくないために、自分の決断が正しかったと必死で正当化する気持ちが強くなってきちゃうんです。

営業マンの最後のひと言が、その引導を渡しているんですね~、不思議なものです。



この殺し文句の「沈黙のクロージング」、実は言う側の営業マンも、結構勇気がいるものなんです。特に経験の浅い営業マン人が良すぎるタイプ気が弱いタイプの営業マンにとっては、なかなか勇気がいる行動であり、はじめはなかなかこれで嫌われたり商談が壊れたりしないか…と、心配で心配で言い出せないものなんです。

このお話をしている今現在も世界中のあちこちで、上司や同僚を相手に何度もロールプレイングによりクロージングの練習が行われているかと思います。それくらい営業マンにとっても勝負どころとなるのが、この「沈黙のクロージング」なんです。

タイミングを逸したクロージングは、即!破談となり、今まで築き上げてきたお客様の信用は消え去り、時間も労力もすべてがパーとなりかねない、営業マンにとっては恐ろしい結果をもたらします。締め日に追われノルマを背負った営業マンにとっては、これはかなり辛い状況となります。

そういう私も若い頃は、「沈黙のクロージング」後の“ 間 ”に耐えられず自分から切り出してしまい、同席した上司によく叱られたものです。

「このボケ!なんで空気が読めないんだ!おまえは…」ってね。今ならパワハラになるんでしょうが、当時はKYですかね…。

さて、この「沈黙のクロージング」、一般的には “ 沈黙 ” という時間の流れは、3分が限度といわれていますが、実際にはとてもとても3分なんて持ちこたえられません。かなり場の雰囲気も悪くなりますし、営業マンとしても後がきつくなります。

機転がきく営業マンなら、言葉を代え巧みにもう一度「沈黙のクロージング」を仕掛けてくるはずです。

ですので…




今日の教え

まだ納得できない「沈黙のクロージング」に対しては、

★すぐに質問をして会話を切り出す!

質問がベストです。質問をすれば、必然的に営業マンがたくさん話をしなくてはいけなくなり、場の雰囲気が戻り、クロージングの空気がなくなります。

「ちょっといい。さっき説明してくれた見積りのあそこさぁ~」なんて感じで、わざとフレンドリーに砕けた言葉づかいにするのも手ですね。

★勇気を持って3分我慢する。切り出さない!

もし相手の営業マンが、前述の人が良いタイプや気が弱いタイプであれば、幸運の女神が舞い降りてくるかもしれません。

営業マン自身がお客様の気を害してしまった…と焦り、急に弱気になり、その必死さから、もっと良い条件を引き出すことが出来るかもしれません。そうでなくても立場を一転させるチャンス到来です!

勇気のいる行動ですが、営業マンも同じように焦っているんだ…と思い、ゲーム感覚で黙り込んでみてください。

正直、ここまで読まれてお客様が堂々と構えて対応されたのなら、営業マンの完敗です。主導権も必然的にお客様に握られますからね…。


どうですか?

「沈黙のクロージング」なんかで損をしないでください。ここで場の雰囲気に流さて返事をしたなら、あなたの「住まいづくり」は、きっとどこかで “ 後悔 ” の二文字が残ることとなりますよ!

決められないのであれば、決めないこと! ましてその住宅メーカーからは買いたくないというのであれば、ハッキリと断ってください!

中途半端な答えでは、住宅の営業マンは決して諦めませんよ! 他社とご契約された後だって、実際にその土地に家が建ち始めるまで、一発逆転を狙って追っかけてきますから。

最近では、セールスに対する目が厳しくなってきたので、ひと昔前ほど強烈なひつこさはなくなりましたが、それでもこれ、ホントの話ですよ!

だって、八百屋や家電売場の店員と違って住宅の営業マンは、お客様一人にかける “ 時間 ” も “ 労力 ” も “ 思い入れ ” もケタが違いますからね。

それに、結構、ご契約後に言った言わないで営業マンとトラブルとなり、解約となっていることもあるんですよ、請負契約というものは…。

そして何より、その月の営業マンの成績が「ゼロ」になっちゃうかもしれませんからね。

「なんだって? どういうこと?」

ってお思いでしょうが、住宅の営業って、効率0.5棟~1棟/月の営業マンがごまんといる世界なんです。だから、毎月必ず何個も売れる業種と違って、ひとりのお客様に、1棟の契約に、とっても力が入っちゃうんです。

当たり前ですよね、ゼロってことは、一ヶ月間何も成果を出さずに過ごすこととなるわけですから、給料泥棒であり、これが二ヶ月三ヶ月と続けば、社内での周りからの視線も厳しくなり、会社に向う足取りも重くなるわけです。

厳しい世界なんですよ、住宅営業は…と、ここまでのお話、ちょっとはお役に立ちましたか?

では、次のお話へ!


営業のプロ』の教え:第2話
 ☞ あなたはどう答えますか?


※プロローグでお断りさせて頂きましたが、現在では女性蔑視・差別表現とされている「ご主人」「旦那」「奥様」という呼称が登場しています。ジェンダー・ニュートラルな「パートナー」や「つれあい」という言葉では文脈上誰を指すのかわかりにくく、また公的な場で「夫」「妻」を他人が呼ぶ呼称が未だ定着していないことから、便宜上「ご主人」「旦那」「奥様」という呼称を使用しています。


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