テストクロージングに、あなたはどう答えますか?

住まいづくり『プロと博士の教え』 第2話

住まいづくり『プロと博士の教え』

~『営業のプロ』の教え ~

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あなたはどう答えますか?

営業マン
「仮に、今までお伺いしました内容すべてのモノが、ご予算内で納まるとしましたら、ご契約いただけますか?」

ご主人
「いや…」(どうしよう?)

営業マン
「ご予算内で、ご希望がすべてかなえられていれば、よろしいんですよねぇ~」



この一言に、何も言えなくなってしまったことありませんか?

契約前の「テストクロージング」!

今「契約してください!」と言っているわけではありません。すべての条件・ご希望が予算内でかなえられたとしたならば、それでよろしいんですよね…と、お客様の気持ち・本音を確認するとともに、次回の意思決定へ向けて着々と布石を打っているのです。じわじわっと外堀を埋めていくわけですね。

そしてもう一つ、もしここで断り文句が出たとしたら、それこそが思うツボで最大の営業チャンスになるという、一見矛盾するような営業手法なのです。

お客様の立場からすれば、断り文句を言ったのにナゼ?…と不思議に思われるでしょうが、なぜなら裏を返せば、その断り条件こそクリアできれば、おたくで良いよ!と言ってくれているも同然だからです。

お客様は知らず知らずのうちに、本音をポロっと漏らして、営業としての落としどころを教えてしまっているわけです。

ご希望のものがご予算内で買えますよ!と言っているのに、悩んでいるということは、そこに営業マンが知りえない隠れたニーズがあるからです。

例えば、他社のプランの方が良いとか、奥さんがキッチンに不満を持っているとか、聞き出し切れていないニーズが潜んでいるわけです。

この「テストクロージング」は、そんなお客様が隠しているものを自然と引き出してしまうという、恐ろしい魔法なのです。

さぁ、みなさんだったらどう答えますか?



このクロージング手法は、一般的には「イフ(IF)クロージング」と言われています。

「もし〇〇ならば…」と言う表現は、「もし」「仮に」という言葉が文章全体をやわらげてしまうため、警戒心が薄れ抵抗感も少なく、ついつい答えやすくなってしまうという魔法なのです。

営業マン
「もし抽選に当たって市内の土地が貰えるとしたら、どちらに住みたいですか?」

ご主人
「そうだなぁ~、貰えるんだったら富士見小学区がいいかなぁ~」

…てな感じで、「ご希望の土地はどちらですか?」なんてダイレクトに質問しても、「いや~全然考えていないよ!」としか答えてくれなかったお客様が、「もし」の一言でポロっと答えてくれてしまうんです。

そういうあなたも、何の気なしに使ったことはありませんか?

「ねぇ、もし芸能人と付き合うならどんなタイプがいい?」…なんて(笑)

ですので、今日の教えは、




今日の教え

「もし〇〇ならば…」「仮に~」の一言が聞こえたら、

★じゃべりすぎず、笑みをたたえてかわす!

とにかくしゃべりすぎないこと。特に契約前の「テストクロージング」において、この「イフクロージング」をされやすいので、事前に警戒しておくことです。

そして、もし「イフクロージング」をされたならば、

「もし仮にでしょう~、宝くじでも当たんないと、そんなことないからねぇ~」

「仮にだったらいくらでも言えちゃうよ! 1000万のキッチンとか、1億円の豪邸とか…」

…と、かわしておきましょう。ただしあまり軽くかわしすぎて、営業マンを怒らせないように注意してください。あくまでも笑いがとれる程度がベストです。

営業マンに不快感を与えたり、マイナスイメージを持たれたら、今後良い条件を引き出す上でマイナスになりますから、気を付けてください。間違っても「やれるだけやったら~」みたいな挑発的な発言はしないように!

そして、冒頭のように「テストクロージング」として「イフクロージング」をされたならば、

「仮に、もし…と言われても、実際に希望のものを予算内で持ってきてくれてからじゃないと、なかなかイメージがわかないんだよね~」

ぐらいで受け流すのがよろしいのではないでしょうか。実際にこの目で見てみないと考えられず判断できないんだよねぇ~と、営業マンに思わせるくらいの感じですかね。


ただし、最終クロージングが近づいていますので、ここで一つ間違えないでほしいのは、候補として残っている業者で、もし営業マンとのギャップが感じられるのであれば、ハッキリとその内容を伝えてください。

自分たちが思っていることが伝わっていないのであれば、ハッキリと「まだプランがね…」とか「キッチンをもう少し…」「A社の方が○○で…」と伝えてください。必ずそれを考慮した最善の案を携え、次回クロージングに来てくれるはずです。

最終クロージング時にブツブツ言っても、最終クロージング前に社内決裁をとりつけている場合が多いですから、後からプラスαは営業マンとしても難しいはずです。

ある程度の役職で決裁権を持っていたり、ベテランの営業マンで値幅を持っている方ならば、その場で多少の引き出しはあるでしょうが、熱意のある若い営業マンほど、事前の社内努力を精一杯してくるので、商談の場での引き出しは少なくなります。

無理だと言っているのではなく、どちらが条件を引き出しやすいかという問題です。



ただここで注意していただきたいのが、優れた営業マンは一歩先を見通して、お客様が最後の場面で言ってきそうな条件を事前に過去の面談から予測し、そこまで社内決裁を取り付けてきます

案の定、お客様から要望が出れば、いったん困った振りをして、さも自分の裁量でなんとかしましょう…という “演出” をすることでしょう。

お客様には「○○さんが営業で良かったぁ~」なんて喜ばれ、嬉しい気持ちになれるうえ、心ではシメシメしてやったり…という満足感が得られるわけで、二重の喜びが味わえます。

逆にお客様から要望が出なければ、その分決済条件よりも会社の利益率は上がりますから、戻って上司に褒められることでしょう。

いずれにせよ、乗せられるのが、営業マンなのかあなた自身なのか、商談というものは常に生きているということです。

是非ともここは、あなたが先を行き、乗せられた振りをして、営業マンには予想通り…という満足感を与えつつ、さらに良い条件を引き出してみてください!

営業〆の日に、最終クロージングの最後の最後の場面で、本当に営業マンを困らせて、「わかりました、その条件ならご契約頂けるのですね。戻ってすぐに決裁を取り付けてきますので、待っていてください!」なんて言わせたら、あなたの勝ちですね。

ちょっとはお役に立ちましたか? では、次のお話へ!


営業のプロ』の教え:第3話
 ☞ あなたはファンになれますか?


※プロローグでお断りさせて頂きましたが、現在では女性蔑視・差別表現とされている「ご主人」「旦那」「奥様」という呼称が登場しています。ジェンダー・ニュートラルな「パートナー」や「つれあい」という言葉では文脈上誰を指すのかわかりにくく、また公的な場で「夫」「妻」を他人が呼ぶ呼称が未だ定着していないことから、便宜上「ご主人」「旦那」「奥様」という呼称を使用しています。


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