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青岸渡寺 Vol . 101 青岸渡寺(和歌山県)
      ‐ Wakayama ‐
青岸渡寺 和歌山
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青岸渡寺 関連】
熊野詣―三山信仰と文化 熊野詣
自然と足が向くそのお寺とは・・
 
熊野三山の1つとして知られる「熊野那智大社」(くまのなちたいしゃ)。
 
那智山青岸渡寺の本堂その熊野那智大社を詣でる際に、自然と立ち寄っているひとつのお寺があります。
 
なんで神社とお寺がいっしょなの?と不思議に思う方がいる一方で、多くの方が、熊野那智大社に隣接している為に、流れのままにあまり神社とお寺という意識も無く、自然とお参りしている感のあるこのお寺が、「西国三十三箇所観音霊場」の第一番札所である、『那智山青岸渡寺』(なちさん せいがんとじ)です。
 
熊野那智大社をお参りすると、自然と足が向くこの那智山青岸渡寺は、神社とお寺が密接に関係しあっていた神仏習合時代の名残で、那智詣の一環として、知らず知らずにみなさんお参りしていかれます。
 
 
 
蟻の熊野詣
 
この那智山青岸渡寺が、天台宗のお寺として那智山青岸渡寺という名称で呼ばれるようになったのは、明治時代の初め頃からでした。
 
那智山青岸渡寺の本堂それ以前の那智山青岸渡寺は、ひとつの「如意輪堂」(にょいりんどう)として、神仏習合の「熊野権現」(くまのごんげん)の中心的存在としての役割を担っていました。
 
もともとは、前方後円墳が有名な仁徳天皇の時代の4世紀に、インドから漂着した「裸形上人」(らぎょうしょうにん)が開基したと伝えられている那智山青岸渡寺ですが、その後、聖徳太子が活躍した推古天皇の時代に、玉椿の木より造られたという、高さ3mのご本尊 「如意輪観世音」を安置する如意輪堂が建立され、勅願寺として、「熊野信仰」の舞台の中心となっていきました。
 
その後、平安〜鎌倉時代には、多くの人々が行列をなして、この熊野へと行き来をしたことから、その有り様を蟻の行列に例えて、「蟻の熊野詣」と言われるまでとなり、熊野信仰の広まりとともに、その存在も全国に知られるところとなりました。
 
那智山青岸渡寺の本堂特に、「花山上皇」に至っては、那智の滝の上方の山中に草庵まで設けて、3年間も御修行をなされ、修行後にこの地より、西国三十三箇所観音札所巡りをなされたこともあり、このことにより、現在この那智山青岸渡寺は、西国三十三箇所霊場の第一番札所となっています。
 
そんな如意輪堂(現:那智山青岸渡寺)だったのですが、明治時代の神仏分離による廃仏毀釈により、神社の道を選択し仏教を排した熊野権現(現:熊野那智大社)において、取り壊しこそ免れたものの、一時は仏像なども他の寺に移され、この如意輪堂は空堂とされました。
 
その後1874年に、信仰する庶民の願いや、西国三十三箇所霊場の第一番札所としての存在もあり、那智山青岸渡寺として独立復興され、現在に至っています。
 
 
 
秀吉寄進の大鰐口!
 
現在でこそ、熊野那智大社の前に、やや存在感が薄れてしまっている那智山青岸渡寺ですが、その本堂である如意輪堂は、熊野権現の中心的存在であった時代より、何世紀もの時を経て現在に至っています。
 
那智山青岸渡寺の本堂高さ18mで、入母屋造りの現在の本堂(如意輪堂)は、「織田信長」により焼き討ちにあったお堂を、後の「豊臣秀吉」が、天下統一した年の1590年に、「尼ヶ崎茂兵衛」に命じて再建させたもので、桃山様式を色濃く残す建築物となっています。
 
見るからに歴史を感じる、時の重なりでしか出せないであろう色合いをしたこの本堂は、現在、南紀で一番古い建築物となっており、国の重要文化財にも指定されています。
 
また、この本堂には、再建の際に豊臣秀吉から寄進されたという「大鰐口」(おおわにぐち)が吊るされており、その直径は1.4mにも及び、重さにおいては450s!と、日本一の大きさを誇るとも言われています。
 
お参りの際には、ちょっと見上げて、この大鰐口の大きさを確認してみてください。
 
 
 
ひとつの錯覚!
 
那智と聞いて、多くの方が真っ先に思い浮かべるのが、「那智の滝」と呼ばれる、「那智大滝」(なちのおおたき)ではないでしょうか。
 
日本三名瀑」として知られ、「那智四十八滝」の代表であり、「一の滝」、「三筋の滝」とも言われるこの那智大滝は、多くの方に親しまれ、那智観光の目玉として、雑誌やポスターなどで、一度はその姿を目にされているかと思います。
 
那智大滝と那智山青岸渡寺三重塔そんな那智大滝の写真を見る時、これまた必ず登場するのが、滝を背にした「三重塔」の姿です。
 
山々の緑に、眩いまでの朱色が映えるこの美しい三重塔ですが、実は、この三重塔を見る時、ひとつの錯覚に襲われます。
 
神仏習合の名残から、熊野那智大社と那智山青岸渡寺という社寺の関係において陥る、ちょっとした錯覚なのですが、この三重塔、当たり前のことですが、仏閣のひとつとして、現在では那智山青岸渡寺の伽藍のひとつに数えられています。
 
しかしながら、色が朱色で、熊野那智大社と同じ色をしていることや、敷地の境界がハッキリしないことなどから、熊野那智大社の建築物だと一瞬思ってしまいがちなことです。
 
知識として、三重塔 ≫ 仏舎利塔 ≫ お寺 ということはわかっていても、目の前の光景と知識がすぐには結びつかず、言われてみれば・・・という感じになってしまいます。
 
もともと、熊野権現として、いっしょだったことを考えれば、納得のいくことではありますが、そのことを抜きにしても、色が同じ・・・という、単純な思い込みをしてしまいがちです。
 
那智山青岸渡寺の三重塔同じような感覚に陥ったのは、世界遺産である、安芸の宮島の「厳島神社」を訪れた時でしょうか。
 
厳島神社の舞台から隣接する五重塔を眺めていた時にも、すぐにはピン!とこなかったことを思い出します。
 
なかなか塔というものの存在意義はわかっていても、視覚的に色が同じ・・・という感覚が先を行ってしまい、ちょっとした錯覚に陥ってしまいがちです。
 
お寺が、茶系の木の色が多く、朱色は神社・・・という、一般的な思い込みがそうさせているのかもしれませんが、似た様な経験はあちこちでしているようにも思えます。
 
 
 
それぞれの熊野詣
 
古くから熊野詣は、「己を見つめ直す旅!」だと言われてきました。
 
西国三十三箇所霊場の第一番札所日本一の那智大滝を中心とした、大自然に囲まれた霊験豊かな信仰の場は、己に執着することから生じた煩悩による、さまざまな悩みや苦しみから、己を解き放つべく機会を与えてくれます。
 
熊野の大自然の中に身を投じ、心身を清め、己を見つめ直すことにより、それらの煩悩から開放され、新しい自分を見つけ出すことができる・・・、そんな機会を与えてくれるのが、この熊野詣最大の御利益とされてきました。
 
皇族の方を含め、古より多くの方が足を運んだ熊野詣、現在でも多くの観光客にまじり、毎日のように札所巡りを行う者の姿や、修験道を極めるべく山中を巡る修験者の姿が見受けられます。
 
アクセスが楽になり、誰でも簡単に訪れることができるようになった現在、熊野詣を行う目的は個々に異なり、単なる観光目的の方がほとんどだとも思いますが、自分にあった形で、新しい自分探しの旅に、あなたも西国三十三箇所霊場 第一番札所である那智山青岸渡寺を、訪れてみませんか。
 
 
  
 
■ 青岸渡寺 〜 星★聖 の ひとこと 〜
熊野権現の中心として栄え、南紀で一番古い建物でもある那智山「青岸渡寺」を、是非とも訪れてみてください!
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