不空院とは?
奈良県奈良市高畑町の新薬師寺の向かいに建つ、山号を「春日山」と称する真言律宗寺院で、「福井之大師」とも言われる。
鑑真の僧坊跡に創建された古刹で、西大寺を復興した叡尊や、戒律復興の祖と言われる覚盛などとゆかりのあるお寺。室町時代には大乗院の祈願所でもあった。
かつての八角円堂の礎石の上に建つ本堂内には、御本尊である国の重要文化財に指定されている、鎌倉期の不空羂索観音菩薩坐像が安置されている他、秘仏である室町期の宇賀弁才天も安置されており、不空院≒福院と響きが似ていることもあって、ならまちの芸妓たちより広く慕われ女人救済の「かけこみ寺」としての信仰も厚かったお寺。
阿吽のタヌキが左右に控える赤い鳥居の奥には「縁切りさん、縁結びさん」と言われる縁切りと縁結びの2つの祠が並んで建ち、西国三十三箇所の観音霊場巡りができる「お砂踏み」や、「井上内親王の御霊塚」などもある。