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禰宜ノ畑温泉

禰宜ノ畑温泉に宿泊するならこの宿！

西伊豆町営 やまびこ荘

西伊豆町営 やまびこ荘

西伊豆町の山間部の大沢里地区にある、旧大沢里小学校の校舎を改修し、青少年宿泊施設として蘇ったのが『やまびこ荘』だ。

大沢里小学校は、明治時代の1873年にその前身となる「明倫館支校 白川舎勤廉舎」として開校し、その後「一色小学校徳風舎支校」「仁科尋常小学校分教室」と名称を変更しながら、1907年4月14日に「大沢里尋常小学校」として現在の建物となる木造校舎が建てられた。

それから明治・大正・昭和と65年に渡り1572名の卒業生を輩出してきたが、1973年3月20日に仁科小学校との統合のために、惜しまれつつその歴史に幕を閉じた。閉校時の全校生徒数は45名いたが、5・6年生がその半数を占めており、1年生がたった1人という状況だったので、過疎化・少子化の時代の流れには逆らえなかったということだ。

その後、大沢里小学校の木造校舎の存続を願う地元の人々の声を受け、1976年7月1日に青少年宿泊施設として町営の『やまびこ荘』が開業し、1979年7月8日には温泉プールが、1987年には食堂棟などが完成し、2011年の耐震工事・リニューアル以後はテレビや雑誌などでも話題となり、2021年には全国放送で紹介されたこともあり、Google検索で "静岡県" と一緒に検索されたワードで "やまびこ荘" が4位になるなど、新たな支配人のもと企画イベントなどを行いながら、現在に至っている。

この『やまびこ荘』のウリは、なんと言っても卒業生でなくとも小学生だった頃を懐かしみ想い出に浸れることだ。かつての教室に泊まり、元職員室の温泉に浸かり、プールで泳ぎ、校内放送のお知らせで食堂へと向かう…という、建物こそリニューアルされているが、そこにはノスタルジックな雰囲気が漂っておりとにかく懐かしい。

部屋には旅の想い出や要望などが自由に書ける「出席簿」が置かれている。昔よく廊下を走ったり宿題を忘れたりして、先生に頭をバシッ！とやられたあの硬～い出席簿だ。特に縦にやられるとチョー痛かったあの感触を、今でも忘れない。

また校則やルールが書かれた「れんらくちょう」があり、『廊下に立たされないように校則は守りましょう。』と書かれている。ジャポニカの連絡帳を見せずに、母によく叱られたのを思い出す。

校則は第一条から第五条まであり、前文に『何度注意しても校則を守れない生徒（宿泊者）は、生活指導の先生が月に代わってお仕置きするか退学処分とします。』と書かれているので、くれぐれも校則違反で追い出されないように気を付けよう。

ちなみに危険な校則が第三条 第二項で、『消灯時間は午後10時です。夜は隣の教室の人に迷惑にならないよう小さな声で話しましょう。たとえお友達が面白いことを言っても「はーははは」パンッパンッパンッと大きな声で笑ったり手を叩いたりしてはいけません。』とあるので注意しよう！

そんな『やまびこ荘』で大人にも子供にも大人気なのが、"特大混浴露天風呂" とも言われる、25m×5コースの源泉かけ流しの温泉プールだ。小学校時代には無かったもので、毎年3月にプール開きが行われ11月まで利用できる。初めての方は、3月～11月に訪れることをおすすめする。

ただし校則の第四条 第二項に『温泉だからといって、夜プールに入ってはいけません。午前8時から午後5時の間で遊びましょう。』とあるので注意！

また第四条 第三項に『子どもだけで泳いではいけません。必ず大人の人と一緒に泳ぎましょう。』とあるので、お仕置きされないようにくれぐれも校則は守るように！ コメントで「風呂桶持ち込み禁止！裸で逮捕！」とも…。

大人気の温泉プールをはじめ、この『やまびこ荘』のお風呂に引かれている源泉が「禰宜ノ畑温泉」だ。昭和時代の1972年1月17日に湧出した温泉で「大沢里温泉」とも言われている。なかなか静岡県人でも読める人は少ないのだが、大沢里は "おおそうり" と読み、禰宜ノ畑は "ねぎのはた" と読む。神職の禰宜と同じ読み方だ。

また「祢宜ノ畑温泉」「祢宜の畑温泉」「祢宜畑温泉」と様々な表記がされているが、この地区の町営の源泉は1本だけなので、漢字により源泉が区別されているわけではない。

禰宜ノ畑温泉の泉質は、2012年5月28日の温泉分析書では、地下700mから毎分900L自噴する、泉温39.1℃でpH8.9のメタケイ酸を31.9mg/kg含む低張性の カルシウム･ナトリウム－硫酸塩泉 となっているが、西伊豆町のHPでは2021年2月1日の調査に基づき、697.6L/分 泉温38.4℃ pH8.6 の表記がなされている。

ちなみに1972年に湧出した際の温泉分析書では、1100L/分 泉温39.3℃ pH8.7 で、メタケイ酸も93.22mg/kg含んでいたので、以前に比べ湯量も泉温もアルカリ度も微妙に下がっている感じだ。

そんなこともあり元職員室にある源泉かけ流しのお風呂は、冬場などぬるく感じる際には熱交換式にて適温まで加温されている。

かつてはすぐ近くに引湯された猪乃湯温泉「しゃくなげ荘」があったが閉館し、現在この禰宜ノ畑温泉のお湯が愉しめる宿は、この『やまびこ荘』だけとなっている。

昔は校則の第一条 第一項の『給食のおばさんおねえさんのお手伝い』の "おばさん" に取り消し線が引かれていたり、コメントで「お手伝い以上のことをすると退学！」なんてあったが、最近は冗談も許されない世の中なので、条文はそのままに線は無くなっている。

時代とともに常識もアップデートしなければいけないわけで、校則等の表記も微妙に修正されているようだが、仕方ないこととは言え昭和の古い人間には初めて訪れた頃が懐かしくもある。

とはいえ卒業生でなくとも郷愁にかられる昔懐かしい宿泊施設であることに変わりなく、たまにはこういう宿に泊まってみるのも良いのではないか…。

くれぐれも在校中は優等生でなくとも、登校初日に廊下に立たされたり即退学とならぬよう、校則だけは守るように！ 特に第三条をね！

それと昔の校舎に泊るのに、遮音性や最新設備を求めるのは止めよう。いやぁ～昨日は隣が煩くて寝れなかったよ…と、襖一枚隔てて寝ていた頃の感覚で宿泊しよう。寝れずに迎えた朝もまた懐かしいわけで、この価格で泊まれるのだから、文句は言わないように！

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