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嵯峨沢温泉

嵯峨沢温泉に宿泊するならこの宿！

嵯峨沢館

嵯峨沢館

伊豆半島の中央部に連なる天城山より流れ出る自然豊かな清流 狩野川沿いに南北約140mに渡り建物が続き、全室狩野川を臨む露天風呂付き客室となっているのが、この「嵯峨沢館」だ。

昭和初期の1928年の創業で、その立地ゆえに1958年の狩野川台風の時には甚大な被害に遭ったがすぐに復興し、今や押しも押されぬ伊豆屈指の名旅館として老舗の域に達している。

伊豆半島の大動脈となる国道414号にも面しており、伊豆箱根鉄道の修善寺駅より東海バスで南下して行くと、25分程で「嵯峨沢温泉」のバス停に着く。バス停名もさることながら宿のまさに入口にバス停があり、さすが伊豆屈指の名旅館だ！という感じだ。

そんな嵯峨沢館の魅力は、なんと言っても渓流沿いに多種多様に設けられたお風呂で、7つの湯処と22の客室露天風呂のすべてが、自家源泉による "源泉100％かけ流し" となっている。

温泉宿にとって、循環はもちろん加水も加温も消毒も無しという "源泉100％かけ流し" は大きな魅力となるのだが、こと嵯峨沢館においては、7つの湯処の魅力がそれを大きく上回っている感じだ。

大概多くの温泉宿が内湯の大浴場に続いて露天風呂があり、貸切風呂も同じような造りのお風呂が並んでまとまっているものだが、嵯峨沢館の「川の湯」「寝覚めの湯」の2つの露天風呂は建物の両端に位置し全く趣が異なる。

「寝覚めの湯」こそ内湯の「夢告の湯」に隣接しているものの、「川の湯」は独立した湯処であり、貸切風呂もすべて場所も造りも趣も異なる湯処となっており、到着後の予約にて無料で利用できる。

特に貸切風呂の「蔵の湯」は、一人で利用するには申し訳ないくらいの広さがあり、巨大な檜の湯舟と青みがかった伊豆石が美しく、ここが内湯と言われても誰も疑わないくらいの贅沢さだ。

巨石が印象的な「花酔の湯」も人気が高く、また岩盤浴の石を利用した温浴効果が期待できる気泡風呂の「薊」も、少し変わった湯浴みが愉しめる。

宿泊者が少なく迷惑でなければ、貸切風呂はすべて入ってほしい湯処ばかりだ。

こう書くと内湯に何も魅力が無いように聞こえるが、嵯峨沢館の内湯は天井の高さや窓の開放感、飛び込んでくる景色、そして湯舟の造りなど、下手な旅館の露天風呂よりもよっぽど開放感があり、もはや内湯の域を超えていると言える。

要するに7つの湯処すべてが魅力的であり、どの湯舟に浸かってもきっと満足することだろう。

そんな湯舟に注がれている源泉は、わたしが初めて嵯峨沢館を知った頃はナトリウム－硫酸塩泉だったが、現在は1kg中の温泉成分の変化によりpH8.5のアルカリ性単純温泉となっている。

温泉分析書を見るかぎりお湯の特性が180度変わったわけではなく、アルカリ性単純温泉ながら陽イオンではナトリウムイオンを多く含み、陰イオンでは硫酸イオンを多く含む温泉となっており、硫酸イオン・メタケイ酸・アルカリ性という美肌の湯の3要素を程よく含んだ心地良いお湯となっている。

とまぁ嵯峨沢館について思うところを綴ってきたわけだが、わたしが唯一気になっているのが、南北に長い嵯峨沢館がなぜ東側・西側という表記をしているのか？ということだが、どうでもいいことだ。

ついでにもう一つ言えば、夏季限定でオープンする「ぷー露」（プール＋露天風呂の造語）というネーミングも気になるが、これも取るに足らないことなので忘れてほしい。

もうすぐ創業100年という節目を迎えようとしている嵯峨沢館。女性客を中心に人気となっている温泉旅館だが、リピーターの多さも特筆ものだ。プロ野球選手やJリーガーをはじめ芸能人もお忍びでよく訪れるといい、この宿の魅力にハマり定宿として利用している著名人も少なくないという。

国道沿いにありながら、心地良いせせらぎと静寂に包まれた湯浴みが愉しめるこの老舗旅館は、昭和・平成・令和と時代が変わっても多くの人々を魅了し続けており、温泉という文化が続く限り、今までも、そしてこれからの100年もすっと変わらずこの場所に建ち続けているであろう。

宿を一歩出れば、歩いて3～4分の所に人気の「東京ラスク 伊豆ファクトリー」があり、また少し上るが歩いて5分ほどの所に、トイレの神様として知られる「明徳寺」がある。

そんな宿周辺の散策も楽しみながら、時間と予算が許すならば、是非連泊してこの素晴らしい湯宿を愉しんでみてほしい…。

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