船原温泉のおすすめの宿ランキング

船原温泉

船原温泉に宿泊するならこの宿！

船原館

ものわすれの湯 船原館

伊豆縦貫自動車道の月ヶ瀬ICより土肥方面へと車を走らせると、5分足らず3kmほどで、国道136号沿いにある天城七湯の1つである船原温泉へと辿り着く。

江戸時代より秘湯として知られていた温泉地だけあって、ここが船原温泉だ！とアピールするようなものはなく、漆黒の闇に包まれる夜間ならば知らずに通り抜けてしまいそうな温泉地だ。

近くを狩野川支流の船原川が流れ、山峡を行く川のせせらぎがとても気持ちの良い所で、明治時代以降は静寂にして自然豊かな温泉場として湯治客が訪れていたという。

そんな船原温泉でおすすめしたい宿が、船原温泉の代名詞にもなっている「船原館」だ。

温泉を語る上でよく言われることだが、どんなに素晴らしい源泉でも、湯舟に注がれるまでに劣化してしまっては意味がないわけで、温泉は "鮮度" が一番とよく言われるが、高温な源泉は冷ますために加水されれば成分が薄まり、時間をかけて空気に触れ冷ませば想像以上に劣化する。

それ故ちょうど良い温度で湯舟の底からプクプクと湧く温泉が、"究極の温泉" として重宝されるわけで、全国屈指の人気を誇る 乳頭温泉郷 の鶴の湯温泉や法師温泉の長寿館がこの足元湧出の温泉であり、二岐温泉の大丸あすなろ荘や 三朝温泉 の旅館大橋もまた然りである。

温泉ツウならずとも足元湧出の温泉が素晴らしいことは湯舟に浸かれば自ずとわかるわけだが、残念ながらこの「船原館」は足元で温泉が自噴しているわけではないが、湧出温度が45.6℃と絶妙で外気に触れずに足元より流入しているわけで、"源泉100％かけ流し" はもちろんのこと、"鮮度" が素晴らしいことは間違いない。

そんな船原館には、珍しい「たち湯」がある。深さ120cmの湯舟なのだが、ここで日本の指圧をもとに考案された水中リラクゼーション法の「WATSU」(ワッツ）が体験できる。

短期間で行える現代版の湯治法とも言えるもので、「船原館」のウリの1つでもある。興味のある方は是非体験してみてほしい。

また伊豆に幽閉されていた源頼朝が、船原峠で狩りをしては野火で獲物を焼いて食していたという伝承より誕生した、地元食材による郷土料理の「お狩場焼き」が食べられる。この料理を目当てに「船原館」を訪れる人も少なくない。

気付けば船原温泉の温泉宿は、この「船原館」だけとなってしまった。

以前、船原温泉には「山あいの宿 うえだ」という、日本秘湯を守る会に所属していた湯宿があったが、コロナ禍の2022年6月に閉館してしまった。貸切露天風呂と天然鮎が自慢の宿だったが、これも時代の流れ…というわけだ。また湯を愉しむだけなら「湯治場ほたる」があるものの、日帰り温泉施設なので宿泊は出来ない。

ちなみにこの「湯治場ほたる」が建つ場所には、かつて「船原ホテル」があった。年配の方の中には「あぁ～船原ホテルね…」と、その名を思い起こす方もいるだろう。

1億円の純金風呂で脚光を浴び、その後の火災で世間を騒がせ1983年に閉館。さらに廃墟となったホテルより純金風呂が盗まれるという窃盗事件が発生し、またまた話題となったホテルだ。

時代が変わり今では遠い昔の話のように感じるが、その跡地に建つのが「湯治場ほたる」というわけだ。下手な旅館の露天風呂よりも開放感のある半露天とも言える内湯なので、ここも是非立ち寄ってみてほしい。

そうして残された、かつての秘湯の面影を残す船原温泉の一軒宿。

デジタル社会からメタバースなどの超デジタル社会へと進もうという今だからこそ、本当の癒しを求めて大正・昭和のレトロな調度品に囲まれた民芸調の昔懐かしい「船原館」に泊ってみてほしい。

レトロな調度品の数々が、きっとあなたの時間を巻き戻してくれることだろう…。

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