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湯西川温泉

湯西川温泉に宿泊するならこの宿！

湯乃宿 清盛

湯乃宿 清盛

湯西川温泉は、子どもの頃に家族で訪れた想い出の温泉地であるが、それはさておきこの「湯乃宿 清盛」は、平家の落人伝説や隠れ里としての色合いを、誇張しすぎることなく程良く匂わせながら、小さな宿ならではのきめ細かなおもてなしで迎えてくれる、大人の宿といったところだろうか。

館内には不思議な民芸品が数多く並べられており、ある種独特な雰囲気を醸し出しているが、やはり絶妙な程合いである。それは客室内にも続いており、通常の宿では見かけないような調度品やしつらえが施されており、とても興味深く感じる。

特に印象的なのは"赤"の使い方で、随所でアクセントとして使われており、平家や都を感じさせるこの色づかいは、落ちながらも雅さを忘れずに持ち合わせ残した、隠れ里ならでのしつらえに思える。外観はあくまでも目だたず、されど室内は京の雅さを残す…、平家の落人の里ならではの演出だ。

お世辞にも広いとは言えないが、源泉かけ流しで楽しめる湯は、小さな宿ならではの特典で、ほぼ貸切状態で利用できる。眺望の良さや凝った湯舟のつくりなどではない、隠れ里と呼ばれる旅先において一人でのんびりと湯に浸かれるという幸せが、いつもとは違った寛ぎを生む。

これもまたその土地ならではの湯浴みを楽しむという、温泉旅の楽しみ方としてありなのである。

地の素材にこだわった山里料理はというと、岩魚の塩焼きや天ぷら、鹿の刺身に釜飯など、地の味そのものであり、湯西川温泉に来ているんだな…と実感できるものばかりである。"美味しいモノはすべて築地に集まる"（現在は豊洲だが…）と言われ、東京にいれば三ッ星レストランをはじめ、美味しいモノにありつけると言われるが、その対極に位置する"地元で食す"という、とことん地にこだわった料理もまた最高の味なのである。

当り前のことなのだが、地の素材の鮮度にはどれだけ冷凍技術が進歩した現代においても勝てるはずはなく、また地元以外ではお目にかかれない食材も多々ある。この宿に来て、あらためて旅先でしかありつけない味の良さを痛感した。

地方でしかありつけなかった良さが、近年次々と東京に集まり、無ければネットで取り寄せる…そんな時代にあって、旅に出なければたどり着けない良さがこの宿には残されている。これだから旅に出る楽しみがあり、旅は面白いのである。

そんな便利な時代にありながら旅を満喫できる湯西川温泉の宿が、この「湯乃宿 清盛」なのである。

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