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畑毛温泉

畑毛温泉に宿泊するならこの宿！

伊豆畑毛温泉 大仙家

伊豆畑毛温泉 大仙家

与謝野晶子が『 湯口より 遠く引かれて 温泉は 女の熱を 失ひしかな 』の歌を残し、若山牧水が『 長湯して 飽かぬこの湯の ぬるき湯に ひたりて安き こころなりけり 』と詠んだ畑毛温泉は、JR三島駅から10km程南下した伊豆半島の入口に位置している。

静岡県人でも読めない人が多い畑毛温泉だが、「はたけおんせん」と読めないというか、むしろ読みから"毛"の字が誤植なのでは？と、一瞬戸惑う人の方が多いのかもしれない。

古来より湯治場として栄えてきた歴史ある温泉地で、最盛期には12軒の宿が建ち並んでいたが、今ではその数は3軒にまで減っている。

1962年3月10日に、当時の厚生省（現管轄：環境省）により静岡県で最初の国民保養温泉地に指定された効能高き名湯で、現在利用されている源泉には、「韮山温泉土地 第3号泉」と言われる「単純温泉」と、「大仙湯 奈古谷24号」と言われる「ナトリウム－硫酸塩･炭酸水素塩泉」の2つがある。

この内後者の「ナトリウム－硫酸塩･炭酸水素塩泉」を所有しているのが、畑毛温泉を代表する温泉宿として、また畑毛温泉の名を現在まで守ってきた宿と言っても過言ではない『大仙家（だいせんや）』だ。

田園風景の中に建つ、プチ湯治気分が味わえる温泉宿なのだが、おそらく知らずに訪れたならば、皆が皆その道のりと『大仙家』というその響きから連想する宿の姿とのギャップに驚くはずだ。

約3800坪の敷地に建つ宿の姿は、鉄筋コンクリート造一部木造の延床面積約1360坪という和洋折衷のオシャレな造りをしたゲストハウス風の立派なホテルで、"温故知新"をキーワードとして1993年に建替えられたものだ。

富士五湖周辺によくある、企業の研修施設のような外観で、看板が無ければ想定外で通り過ぎていたかもしれない。

そんな『大仙家』の魅力は、なんと言っても前述のこの宿でしか楽しめない、自家源泉の「ナトリウム－硫酸塩･炭酸水素塩泉」だ。

ラドン含有量が多いこのお湯と、泉質の異なる「単純温泉」の2つのお湯を比較しながら楽しめるのも、当然ながらこの宿だけの特権であり、ここにこの宿が長く愛されてきた要因がある。

また温泉以外にも、陶芸工房「大仙窯」やギャラリー・カフェ、アロマトリートメントやリフレクソロジーが受けられるアロマ・スパなども併設されており、館内はリゾートホテルといった感じだ。

これも非日常を演出するホテルとしてのコンセプトの1つであり、ここに至って完全に当初の昭和の温泉旅館を連想していた宿のイメージが払拭された感じだ。

このページをご覧になっている方の中にも、私と同じようなイメージを宿名より持たれた方も多いと思うが、是非そのギャップを直に体感して欲しい。

ちなみに訪れるなら、冠雪した富士山らしい光景が眺められる冬期がおすすめで、中でも『大仙家』から10分足らずで歩いて行ける、柿沢川沿いに咲く早咲きの かんなみの桜（河津桜）が美しい、2月の「かんなみ桜まつり」の期間がおすすめだ。

行く途中の柿沢川沿いには、冒頭でご紹介した、1922年9月に畑毛温泉に逗留し27首を詠んだ若山牧水の、ぬる湯の名湯として名高いこの畑毛温泉の特色を歌った歌碑が建てられている。

『 長湯して 飽かぬこの湯の ぬるき湯に ひたりて安き こころなりけり 』

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