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孔子廟 Vol .93  孔子廟(長崎県)
孔子廟
‐ Nagasaki ‐ 長崎
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日本三大チャイナタウン!
 
異国情緒たっぷりの街、長崎! そんな長崎の観光の中心といえば、やはりベイエリアから山手へと続く町並みなのではないでしょうか。
 
孔子廟入口かつて外国人居留地だったこの周辺には、歴史的建造物である美しい西洋建築物が点在しており、これぞ長崎!といった感じの光景があちこちで見受けられます。
 
そんな長崎の外国人居留地にあって、ちょっと異色の雰囲気をかもし出しているのが、眩いまでの朱色が印象的な、ここ 『孔子廟』(こうしびょう)です。
 
長崎は、横浜神戸と並び、「日本三大チャイナタウン」と言われるところで、江戸時代より中国貿易に携わる多くの中国人が、長崎に居留していました。
 
長崎と言うと、オランダイギリスのイメージが強いのですが、実は中国との交流において長崎は、切っても切れないほど重要な役割を果たしてきた場所であり、今もその名残が色濃く残っています。
 
 
 
もうひとつの出島!
 
現在、長崎で中国色が漂う場所と言えば、「唐人屋敷」と、毎年2月に開催される「長崎ランタンフェスティバル」が有名な「新地中華街」を思い浮かべる方が多いかと思いますが、この新地中華街はもともと、本土との貿易用に多くの蔵が建っていた場所で、「新地蔵所」と言われていたところでした。
 
長崎港にあった蔵が火災で焼失し、大きな被害を被ったことをキッカケに、「出島」同様の人工島をつくり、陸から隔離して蔵を設けたのが、この新地蔵所のはじまりでした。
 
明治時代になり、役目を終えたこの新地蔵所跡に、多くの在留中国人が集結して、今の新地中華街が生まれました。
 
新地蔵所一帯は、埋め立てが進み、今ではすっかり街の一部に溶け込んでしまいましたが、かつて蔵があったことを記す石碑が、今も新地中華街の中に残っています。
 
そんな中国との交流の歴史の中で、この孔子廟が誕生しました。
 
 
 
日本の孔子廟
 
孔子廟は、文字通り、「お釈迦様」(おしゃかさま)や「イエス・キリスト」、「マホメッド」 (ソクラテスという説もあります・・・)と並び、「世界四大聖人」と言われる「孔子」を祀ったものであり、この長崎の町には、明治時代の1893年に建てられました。
 
孔子廟 大成殿と72賢人像日本で始めて造られた孔子廟は、江戸時代の1632年のことであり、「林羅山」(はやしらざん)が、上野の宅内に設けたのが、孔子廟の始まりと言われています。
 
後にこの孔子廟は移築され、それが現在の「湯島聖堂」のはじまりと言われています。
 
この他、水戸の「弘道館」にある孔子廟や、岡山の国宝「閑谷学校」(しずたにがっこう)にある聖廟など、孔子廟はいくつか建てられていますが、儒教に馴染みのない現在の日本においては、あまり知られるところではないのではないでしょうか。
 
 
 
圧巻!72賢人像
 
そんな中、この長崎の孔子廟の凄いところは、明治の創建時には、当時の清朝政府の協力により、現在の姿となった1982年には、中国政府の全面協力により造られたという、日本唯一の中国人の手による孔子廟というところです。
 
孔子廟の72賢人像孔子廟内にずらりと並んだ「72賢人像」も、「瑠璃瓦」(るりがわら)も、「龍の御影石」も、すべて中国から運ばれたという、中国政府の手によるものとしては中国国外初という、本格的な孔子廟となっています。
 
中でも、「」の「六芸」(りくげい)に通ずるという、ズラリと並んだ等身大の72体の賢人達の石像は圧巻で、実際に目にしてみると、顔の表情は言うまでもなく、体型の違いや背筋の張り方、視線の方向に指の曲げ方まで、ひとりひとり個性豊かに表現されており、その人物の性格まで見て取れるほどの、その彫刻の出来のすばらしさに、ただただ感嘆するばかりです。
 
その上、眩いまでの大理石の輝きが、朱色の建物と青い空に映え、実にコントラストの効いた美しい眺めを演出してくれています。
 
孔子廟の72賢人像日本でも、「赤穂大石神社」など、参道や本殿の左右に石像がズラリと並んでいる寺社はありますが、そのほとんどが、静かに佇み、決して自らの存在をアピールするような感じではないのに対して、この賢人達の像は、強烈な色彩のもと、自ら目に飛び込んでくるようなインパクトがあり、まるで語りかけてくるかのごとく感じられます。
 
日本の石像は、通り抜ける際に、背中越しに何ともいえぬ視線と、ジワっとくる重みを感じるのに対し、こちらの賢人達は、目に入った瞬間にすべてを訴えかけてくるような、そんな違いを感じます。
 
日本の時代劇と、紫禁城などが舞台となる華やかな香港映画との違いのような、無彩色と原色の違いのような・・・、ここに中国との文化の違いが感じられるような気がしました。
 
 
 
神になった人物!
 
賢人達に囲まれながら、前庭を抜けた先に建っているのが、左右に想像上の獣である「麒麟」(きりん)を従えた、孔子を祀る「大成殿」です。
 
一段と香の香りが増したこの大成殿でも、日本の仏像などの煌びやかさとは、一味も二味も異なる雰囲気を感じます。
 
大成殿に祀られた孔子は、みなさんもご存知のように、あの「子曰く・・」で有名な「論語」に登場する先生であり、儒教の創始者として広く世間に知られている存在ですが、そんな孔子は、紀元前551年に、今の山東省で生まれました。
 
孔子廟 大成殿聖人君子」として称えられる孔子は、中国の春秋・戦国時代に生きた人物でしたが、存命中は、思い描くような仕官にも恵まれず、理想を果たせぬまま、紀元前479年に、73歳でこの世を去ることとなりました。
 
孔子の教えが脚光を浴びだしたのは、没後半世紀以上経ってからであり、その弟子達がまとめた著書などにより、徐々に広まっていきました。
 
その後、朝廷でも「」による道徳を貫いた儒教の教えが認められることとなり、国内外へと一気に広まることとなりました。
 
日本でも、江戸時代に「儒学」が盛んになりましたが、孔子が生きた時代の日本は、まだ縄文時代だった訳で、そう考えると、改めて中国4000年の歴史の重みを感じます。
 
そんな孔子の教えは、学問的な儒学・儒家とは別に、いつしか宗教色が強くなり、やがて孔子は神として崇められていきました。
 
中国史上でも、神格化した人物として特異な存在となっている孔子ですが、神格化した人物と言えば、日本では「太宰府天満宮」で知られる「菅原道真」公が有名ですが、中国では、孔子の他にも三国志に登場する「関羽」などがいます。
 
いずれのケースも、生前には思いもよらなかった人物ばかりで、いつの世も、神になろうとした人物はことごとく歴史上から抹殺されていき、意図せぬ人物が、後世になって崇められていくという・・・、なんとも皮肉な人生模様が見てとれます。
 
 
 
国宝級の文化財!
 
大成殿をさらに奥に進むと、そこには、中国4000年の歴史と文化が凝縮された、「中国歴代博物館」があります。
 
3階が、「中国歴史博物館」提供の「古代文物展」で、2階が、あの「北京故宮博物院」提供の「宮廷文物展」となっています。
 
孔子廟 儀門国宝級の品々や貴重な資料・工芸品などが展示されており、さすがに本場仕込みという感じの、すばらしい展示内容となっています。
 
今までの流れを受けて、ここにきて一気に中国という大陸文化に呑み込まれていく・・・、そんな感じの展示内容です。
 
孔子廟の入口から内大門にあたる「儀門」や、本殿である「大成殿」、そしてこの「中国歴代博物館」と、本場中国の建築物に、遠く海を渡ってきた石像や文化財の数々・・・、周囲に漂う香の香りとともに、この長崎孔子廟は、大陸を渡ったような気にさせてくれる・・・、そんな場所となっています。
 
惜しまれるのは、街中であるがゆえに、周囲のビルやマンションが視界に入ってしまい、目にするたびに一気に冷めてしまう感じなのですが、眼前に広がる世界は紛れもなく中国文化そのものであり、どれをとっても見ごたえのあるすばらしいものばかりです。
 
日本にいながらにして、このような気持ちにさせてくれたのは、鳥取にある中国庭園 「燕趙園」(えんちょうえん)を訪れた時以来でしょうか・・・。
 
 
 
明のお祭り、孔子祭!
 
この孔子廟では、毎年9月の最終土曜日に、「孔子祭」(釈奠)が執り行われています。
 
孔子廟 大成殿と72賢人像一大イベントであるこの孔子祭は、孔子生誕を祝うお祭りで、孔子の霊を招きいれ、様々な儀式が催されていきます。
 
同じく最終週に行われる「長崎居留地まつり」と、時を同じくして開催されるこの孔子祭は、明の時代の壮大なお祭りを再現したもので、とても賑やかなお祭りとなっています。
 
日本三大チャイナタウンであるこの長崎の地において、より中国文化に馴染みたいという方は、2月のランタンフェスティバルか、この孔子祭にあわせて、孔子廟を訪れるのがいいのかもしれません。
 
もちろんそうでなくても充分楽しめる孔子廟ですので、くれぐれも、「グラバー園」「大浦天主堂」「オランダ坂」・・・と、この孔子廟の脇を素通りしないでください。
 
 
  
 
■ 孔子廟 〜 星★聖 の ひとこと 〜
中国政府の手による、国外初の孔子廟!
72賢人像、大成殿、儀門、中国歴代博物館・・・と、どれをとっても、みなすばらしいものばかりですよ!
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