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第6話
住まいづくり『プロと博士の教え』
営業のプロのお話
■□■□■

■第6話 営業マンは見た!



 (ピンポ〜ン♪)(ガチャ!)

 ☆営業マン:「こんにちは、○○ホームの△△ですが、今日は展示場ご来場のお礼で
        お伺いいたしました。」


 ★奥様  :「・・・わざわざすいませんね、ただ立ち寄っただけだったなのに・・」

 ☆営業マン:「いえ、昨日は当社の展示場をご覧いただきまして、本当にありがとう
        ございました。ご覧になっていかがでしたか?少しは参考になりましたか?」


 ★奥様  :「そうねぇ〜正直言って、いっぱいあってどれがどれだか覚えていなくて」

 ☆営業マン:「そうですよね、どこも同じような家ですもんね」

 ★奥様  :「そうなのよ〜たしか赤いキッチンがあったように覚えてんですけど、他は
        どうだったか・・、みんな洋風の四角い家が多くて、窓がすごく大きくて」


 ☆営業マン:「そうですよね〜、何軒くらい回られたのですか?」

 ★奥様  :「そんなでもないんですけど、5〜6軒くらいかしら?」

 ☆営業マン:「そうですか〜、それじゃ〜昨日から結構次々と営業マンが来てビックリ
        されているんじゃないんですか?」


 ★奥様  :「いえ、まだおたくで2人目ですよ。昨日主人が電話でどこかと話してた
        かしら・・。みなさん大変ですよね!」





総合展示場に行ったその日の夜や次の日に、突然営業マンが家に来てビックリ!された方、多いんじゃないですか?

そうでなくても、お礼の電話がかかってきたり、来場お礼の手紙が届いたり・・。

わたしも、今でこそカーナビや電子地図などで、お客様の家がすぐにわかりますが、昔はゼンリンの地図をめくり調べて、地図のコピーを片手に即日訪問したものでした。

この「礼訪」(=お礼の訪問の略)、みなさんはどのように応対されていますか?

営業マンの腰の低いソフトであたりのやわらかい対応に、ついつい無防備に答えていませんか?

この「礼訪」、もちろん本当にお礼の気持ちをこめてお伺いしているのですが、半分以上は、お客様の判別のため、いわば「事情聴取」に訪れているのです。

目的はただ一つ、このお客様は営業するに値するかどうか? どのランクにあたるお客様か? を見極めるための訪問なんです。そのために、あらゆる角度からお客様の情報を集めるのです。




冒頭の会話の中で、あなたは営業マンが何を感じ、どんな情報を収集していると思いますか?

そんなの「自分が2人目の礼訪者で、5〜6軒を見て回ったが、どこも同じような家で自社の家をあまり覚えていないこと」じゃないか〜なんて簡単に思っていませんか?

この「礼訪」、実はお客様の情報収集は、ピンポーン♪の前から始まっているんです。




それでは順をおってお話しましょう。

まず、お客様が「どのような環境にお住みなのか」を見ています。

古い住宅地なのか? 田舎の一軒家か? アパートやマンションか? 借家か持ち家か? などです。
それに、近くに建築中の現場があるかどうかなどもチェックし、「潜在的なニーズ」を探ります。

これらは、新しく土地を探して家を検討するのか、建替によるものかの判断や、周りに刺激を受けているかなど、事前情報としていろんなことをインプットできます。

古い分譲地などでは、一軒が建替えると、意外にそれがキッカケとなり刺激を受けて、「うちもそろそろ考えなきゃなぁ〜」となる場合が多いんです。


次に、「今のお住まいの状況」です。持ち家なら築何年位か? 区画整理や立ち退きに引っかかっていないか? 家の大きさや痛み具合、リフォームの有無? などです。

建替えのニーズや、家というモノに対する「お客様の考え方」を探っています。


そして「所有するクルマ」です。

何台お持ちか? どんなクルマに乗っているのか? 色やオプション品は? などをチェックします。

台数は家族構成を知るヒントになりますが、それよりもどのようなクルマに乗っているかが大きなヒントになります。

最近でこそワンボックス車が多くなりましたが、クルマには「ご主人の性格」や「ご夫婦の考え方」がよく現れるものです。

一般的なファミリーでRV車に乗っているなんていうのは普通ですが、例えばGT−Rやランエボに乗っている・・なんてのは、ご主人のクルマ好きさやこだわりを感じます。

また、カローラ、マークxなんてのは、多くはご主人の80点主義(これといって特別特徴は無いがすべてが合格点)の表れだと思われます。

クルマは、一般的には2番目に高い買い物ですから、家の購入にあたっての「モノの価値観」を知る上で重要なヒントが隠されているんです。

昔はよくホンダ車を所有する方に注目していました。今でこそ他と似てRVメーカーになってしまいましたが、SONYと同じく、ホンダ車が好きな方には、どこか同じ傾向がありました。

また、クルマの色や、ルーフキャリア、アルミホイールなどのオプション品、それに洗車などクルマのお手入れ状態なども重要なヒントになります。

何の気なしにとめているクルマですが、よくよく見ると所有者のことが結構分かるものなんです。



話は戻りますが、冒頭の会話の「こんにちは」以降ですが、会話中の言葉づかいや、表情視線がどこへいくかで、お客様の「性格」や「家づくりへの真剣度」をみています。

特に、興味がなく早く帰って欲しい場合などは、目線は下がっていますし、返答が切り上げ調になりますからすぐにわかります。

特に若い世代の方は、ウザい!と思うと、すぐに表情にでますので、ほんの何秒かでわかります。

そんな風に会話を続けながら、玄関先の靴の数から家族構成を推測し、突然の訪問でも靴がそろっているか? 散らかっている場合にはドアを開けてから気付いて直すかどうか? 玄関先に荷物がそこらじゅうに積み重なっていないか? 全体的にきれいに整理されている印象か? など「奥さんの性格」を判断し、さらに置物や家族の写真、ゴルフバック、ボード・・などで、家族の趣味や価値観など「家族の情報」を収集していきます。

突然の訪問ですから、ありのままが見られるわけで、かなりの情報が掴めてしまうわけです。

わたしも自分が営業している時は、そういうことがわかっているのですが、いざ自分の家に突然の訪問者が訪れた際などは、そこまで考えてませんから、そう考えると恐ろしいことですよね。


最近では、「宅急便」の配達員が、一番情報をもっていると言われています。

サービスの向上につれ、担当テリトリーが細分化され、集荷と配送により、より密接にみなさんと接するようになり、かなりの情報を持っていると言われています。

家族構成から休みの日、留守の時間帯、購入する商品傾向から利用頻度まで、あらゆる情報が宅急便業者には蓄積されています。

さらに怖いのが、宅急便屋さんの「メール便」の配達員です。「これは郵便物ではありません!」というやつです。

あの配達員、単にポストに投げ入れているだけではないんです。実はアンケート調査も請け負っていたりするんです。

住宅業界でも利用している会社があり、メール便を届ける時に、一軒家かどうか? 新築か? クルマは何台? 表札の家族名・・などの調査を同時にやっていたりします。

どうですか? 少しは「見られている」ことに対して、意識が生まれてきましたか?




では、再び話を冒頭の会話に戻しましょう!

「どれだか覚えてなくて」という奥様の答えを受けて、営業マンは「うちは3階建ての二世帯住宅で、和室の続きまあり、ヒノキのお風呂があったところですが・・」などと、必死に思い出してもらおうとはしてはいません。

「そうですよね、どこも同じ家・・」と言って、「同じであること」を強調しています。

なぜでしょうか?

普通だったら、自社の商品はこうであの部分が優れていて・・、思いだせましたか?と、必死に差別化を図るべくアピールするはずです。

なぜ?わざわざ記憶を埋もれさせるような発言をするのでしょうか?

実はこうすることにより、お客様はもし他と同じでないものを感じていたとするならば、必ずそれを言葉に出して言うからなんです。

言い換えるならば、特別に感じているからこそ、同じような家の中で覚えているわけで、「覚えている」=「興味がある」ことだからです。

それを聞き出すために、わざと「そうですよね、どこも同じ家・・」と言っているのです。


また、この答えが多ければ多いほど、「自社に対する興味や関心度」もわかりますし、同時に家づくりに対する「真剣度」も測れます。

ここでは、「キッチン」がキーワードとして残ります。

ちなみに、もし奥様の言った「たしか赤いキッチンがあったように覚えてんですけど〜」が、間違って他社の展示場であったとしても、それはそれでよいわけです。

「キッチン」がキーワードとして残ることに変わりはありませんから。

そして、最後に「競合相手が何社くらいになりそうなのか」を、回った数から予測し、「他社の動き」を礼訪順で確認しているのです。




どうですか? 営業マンの恐ろしさがわかってきましたか?

もちろん今回のお話なんかは、ほんのさわりに過ぎません。わかって欲しかったのは、営業マンは冗談を言って笑わせたり、同情したり、軽い雑談をしている中でも、1秒たりともムダな面談をしていないということです。

その場でメモったり、改まって一つ一つ聞いたりしなくとも、アンテナを張り巡らせ、個々の情報を結びつけながら、より多くの情報を掴んでいくのです。

ということで、今日の教えは、


■□■ 今日の教え ■□■

★「家の顔」に気を払いましょう!

「家の顔」とは、家の前、玄関先、勝手口前、庭先などに注意を払い、日頃からそれらに住む人物像が現れていることを意識してください。

そのうえで、

★営業マンは見ている! 「笑顔の裏に刑事の顔」

ということを意識しましょう。

どんな状況であれ、ムダに時を過ごす営業マンはいません。ソフトでやわらかく包み込む応対の裏で、どんな些細な情報でも漏らさず聞き出そうと、あの手この手でゆさぶりをかけてきます。

もちろんお客様は犯人じゃありませんから、危害を加えることはありませんが・・(笑)。

ただ、今後商談が進むとすると、営業マンばかりが、こちらの情報を握っていくことは、商談時に立場が弱く営業の手のひらで踊らされる危険性が高まっていきます。

ですので、ここは逆に、

★営業マンへの個人的な質問で、その人間性をチェック!

することをおススメします。

不意の質問に人間性が現れるのは、お客様も営業マンも同じです。
営業マンが一瞬ひるむような個人的な質問で反応を見てみましょう。

例えば、

 「毎月何棟売ってんですか?」
 「今まで何棟売られたんですか?」
 「ノルマはあるの?」
 「遅くて大変ね〜デートとかできないでしょ?」
   
あたりですかね〜嫌な質問は。

もちろん全員がそうではありませんが、こんな質問は、上司に言われているような気がして嫌でしょうね〜。おそらくつくろうのに苦労する営業マンが多いのではないでしょうか。

特に今月の成約数に関しては、住宅セールスは年間4〜10棟くらいの成約数の方が多く、必ずしも毎月コンスタントに売っているとは限らない為、ゼロとは口にしづらく、そんな時に、人間性が垣間見えたりすると思います。

とにかく困った時の営業マン泣かせの言葉でもありますので、今後のためにも覚えておいてください。ある意味究極の「殺し文句」ですよ!

まぁ、全体的に日頃、聞いたり聞かされることばかりで、「聞かれる」ことには慣れていないため、総じて戸惑う営業マンが多いはずです。


どうですか? だんだん営業マンのことがわかってきましたか?

これまでいろいろとお届けしてきましたが、とにかく「敵(=営業マン)」を知ってください!

どういう人たちで、どういうことを考えているのか? なぜこんなことを言いこんな行動をとるのか?を理解することが、商談を有利にし、損をしないためには絶対に必要なことです。

ビジネスの世界では当たり前のことですが、自分がプライベートなお客様の立場になると、なかなか出来ない方が多いようです。




そうそう、いきなり今回「刑事」という言葉が出てきて、不思議に思われたでしょうが、実は、わたしが駆け出しの営業マンだったころ、ある先輩に言われたことがありました。

 ★「住宅の営業マンはデカだよ!」

って。そう「刑事」です。

心理戦や事情聴取を行い、アンテナを張り巡らせ、カンを働かせあらゆることを推測して、ホシ(=お客様)の動きをキャッチし、すかさずアクションを起こす・・・そして何より絶対にホシを逃がさない! 必ず捕まえホシ挙げる(=契約する)ってね。

かなりお客様に失礼なお話ですが、ある面なるほどなぁ〜と感心しました。もちろん今でも的確な表現だと思っています。

そして、新人時代に今でこそ個人情報の問題から合法的には難しくなりましたが、決定的に「俺は刑事だなぁ〜」とつくづく思ったことがありました。

こんなことまでするのかよ!・・・と。

そのお話は次回のお楽しみということで・・・
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